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リトアニア演奏旅行後記

 

                    

【音楽家人生において、大きな1ページとなりました!】 指揮者 吉川健一

 

 このリトアニア演奏旅行のお話を静岡大学OBグリークラブの菅井さんから頂いた時、既に出発4ヶ月前、最初の練習も既に始まっていました。しかも菅井さんは神妙な面持ち、話を聞いてみるとリトアニアで指揮を振ってもらえないか?とのこと。6月の後半は新国立劇場のオペラ公演が入っていたのを覚えていたので、恐る恐るスケジュール帳を開き確認してみると、ちょうど公演拘束日が始まる1週間前であり、少しスケジュールを調整すれば行ける事が判明、これも運命だと思いました。

 練習は月一回小田原に全国からメンバーが集まり、狭い音楽室でギュウギュウになりながら熱意を持って練習しました。そうです、静大OBのメンバーは熱意はあるのです!しかしそれが演奏に反映されているかというと・・・

 曲目は、日本愛唱歌から多田作品まで、メンバーが歌いたい曲を挙げてもらい決まりましたが、どの曲も暗い、盛り上がらない・・・(♪し〜ずかに死んで〜いこう〜♫等)しかしこれがTHE JAPANESE SONG。覚悟を決めて稽古に挑みました。

 稽古が始まると問題点は山積み、一番大きな問題は、メンバー各々が50年前に素晴らしく歌っていた栄光が頭から離れず、その感覚で歌おうとしても、今の身体がついてこず、リズムや音程がバラバラ。多田作品が難しいのは承知の上でしたが、私が要求したのは、特に愛唱歌のレベルアップ!素晴らしい唱歌を言葉の分からないリトアニアの人々にも音楽と言葉の表現力で感動を伝えたいということでした。

 結局4回の練習でリトアニアに出発、正直、不安と開き直りの境地でした。しかし羽田→名古屋→ヘルシンキ→ヴィリニュスの行程でしたが、その途中、機上より富士山がとてもきれいに見えた時、この演奏旅行は素晴らしいものになる予感がしました。

 リトアニアに到着してからの心地よい気候、人の温かさ、治安の良さ、街の素晴らしさはあえてここには書きませんが、リトアニアが大好きになる経験をさせていただきました。(じゃがいも以外は・・・食べ過ぎました)

 さぁ2回あるコンサートの一本目はカウナス工科大学で行いました。大学の講義室のような場所でしたが、響きも良く、たくさんのお客様が入った会場は熱気で溢れていました。

「いざたて戦人よ」を一曲目に演奏した後、私(指揮者)のすぐ後ろにいらっしゃるお客様のどよめきが聞こえ、この演奏を楽しんでもらえていると感じることができ、里の秋などPP で演奏するような曲では会場は静まり緊張感のある雰囲気を演奏で作り上げられたことをすぐに感じられました。

30分以上の演奏時間になったにもかかわらず、メンバーの集中力は持続し、最後のそうらん節では、会場一体となった演奏にとても感動しました。

このコンサートの成功は、後の懇親会でも実感することができました。KTUシニア合唱団の皆さんの温かいおもてなしにより、よく食べ、飲み、何時間も踊り、歌い合った経験は一生忘れることができない思い出になりました。

 2本目のタウラゲでのコンサートは、カウナスのコンサートとは全く別の雰囲気のものでした。劇場支配人の方や市長さんが、初めて市を訪れる日本人との交流に一生懸命尽くしてくださっていることにも感謝しました。

 コンサート会場は、予想以上に大きな劇場でしたが、響きは最悪、特にマイクが入っていた為、その音響バランスをとるのに苦労しました。

 この日は2時間以上の移動と連日の旅行で、私も含むメンバー全員が疲れていることは知っていましたが、短いリハーサルの後、皆さんに「とにかく集中して演奏してください!集中!」とアドバイスさせていただきました。

 お客様の雰囲気は、カウナスのお客様のほうがよりアットホームという感じでしたが、こちらタウラゲのお客様は一曲一曲の拍手がとても大きく、地元司会者が割って入る程熱いものでした。どのお客様も初めて聞く日本の歌に喜んでくださっている様子がとても伝わりました。

 この日の静大OBのメンバー各々がとても素晴らしいパフォーマンスをしてくださいました。

 もちろん後日、録音を聞けば言いたいこともたくさんあると思います。(なのであまり聞いていません・・・)しかしこの日のメンバーの集中力は、今まで見たことがない程のものでした。すべての曲で私の指揮(手と口の指示)に集中し、僅かな音楽のニュアンスを一生懸命演奏しようという思いが、とても伝わってきました。これは指揮をしていてとても嬉しい瞬間でした。メンバーの皆様、改めて感謝申し上げます。

 コンサート終了後、すぐに私一人カウナスにタクシーで戻らなければならず、クリスティーナさんはじめ、関係者にちゃんとお礼ができずに残念でしたが、帰路につく途中もコンサートの興奮が冷めやまずといった感じでした。

 

 日本に帰ってきて改めて思うと、音楽に国境はなく、音に真摯な姿勢であれば、必ずその思いは音となって伝わるということ。今回の演奏旅行の成功は、メンバー皆様の50年以上の音楽への姿勢が実を結んだと思っています。私も静大OBのメンバーのような音楽との繋がりを長い間持ちたいと、姿勢を正しました。

 

最後に、この旅を実現してくださった藤井洋さん、クリスティーナさん、菅井さんはじめ、すべての関係者に感謝申し上げます。

これからも素晴らしい舞台を一つ一つ成功させましょう!

 

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